競輪コラム

なぜ競輪の速度はあれほど速いのか?ほかの競技との比較や速さの秘密に迫る!

みなさんは競輪選手がどれくらいの速度で走っているか、もしくは戦っているかご存じでしょうか?

  • スタート直後から最高速までどのくらいの時間を要しているのか?
  • 競輪は他スポーツ・競技と比べた場合どれほどの速度であるのか?
  • なぜそれほどの速度を出すことができ、どのような工夫がされているのか?

競輪ファンなら一度は気になる点ではないでしょうか。
そんな競輪速度の秘密についてご紹介していきます。

競輪の速度はどのくらい?

競輪は決められた周回数のうち、その選手が一番早くゴールすることができるかを競うレース競技です。

そして競輪ではルール上、規定時間が決められており、規定時間を過ぎてしまうと「タイムオーバー」となり賞金が半分になってしまいます。
それほど競輪界では「速度」というものが重要であるかを物語っています。

①平均で時速およそ70km!一般競輪選手の平均的な速度

競輪のスタート直後は、決められたペースで走る先頭員がスタートから規定の位置まではおよそ30㎞/hのペースで誘導します。
その後約1周半(残り約600m)まで先導が続き、ラスト1周あたりで加速をし始めます。

最高速度到達時点で時速およそ70㎞のペースを保ち、他の選手と切磋琢磨しながらゴールまで競います。

②速度は約70km!競輪の大会で最高速度に到達する瞬間は?

最高速度は一番どの瞬間で必要かというと、まさにゴールラインを通過する瞬間です。
時には時速70㎞/hに到達することもあるんです!
最後のデッドヒートに備えるため、序盤は体力を温存し後半のラストスパートで一気に漕ぐ力が必要となります。
競輪もペース配分が重要になっているのです。

競輪以外の競技の最高速度を比較

さて競輪の最高時速約70㎞ということですが、自転車でこんなに速度を出すとは驚きの競技です。
他の競技の速度については、いったいどうなっているのでしょうか?
その速度比較について探っていきます。

1.ロードレースの最高速度 競輪との違いは?

競輪場で決められた周回数で行う競輪に対し、一般公道を貸し切って長距離走行し、
所要時間の短さを競うのがロードレースです。
ロードレースは国内のみならず、海外でも人気を博しています。

有名どころではフランスを中心に各国またいで行われる「ツール・ド・フランス」やイタリア「ジロ・デ・イタリア」など
数日間に渡っておこなわれるのもあり、最長で1日に200㎞以上走ることもあるんです!
アマチュアで50km~70kmほどといわれておりますが、世界のトッププロアスリートだとゴール時に最高時速80㎞に到達することもあるそうです。

ちなみに競輪と違い、下り坂などコース形状によって異なるため毎回この速度に到達するわけではなく、平面コースに面した場合の瞬間最高速とのことです。

2.ボートレースの最高速度 競輪との違いは?

こちらも競輪同様に決められた周回数を走行し速さを競うレース競技となり、公営競技で人気もあります。
ただし、ボートレースは競輪とは違い、競技用モーターボートを用います。
ボートの仕様は規定があり、同一のエンジン(モーター)が取り付けられるため、パワーの差が出にくいのですが、ターン方法やスタートダッシュなど、選手の力量が順位に関わってくる点が見どころです。
速度は時速約80㎞とされていますが、水面ぎりぎりを走行するため体感速度はそれよりもかなり速いとのことで、こちらもスリルが高まり集中力が試される競技となります。

3.競馬の最高速度 競輪との違いは?

競馬は競輪・ボートレースと並ぶ公営競技で、馬に乗り速さを競う競技です。
レースの特徴として馬の個体差によって体重や能力の差異が生じやすく、人間だけで勝敗が分かれないというのが特異点です。
登録出走に関しては、一番重い馬を最初に決めてから、登録馬を決めていくスタイルが一般的なところであります。
ルール面で特殊なのが、一部のレースでG1出走経験のある馬や体重が軽い馬に重量ハンデを課す場合があり、予想の仕方により一層工夫が必要となります。
長距離レースでは時速約60㎞となっていますが、速さ重視の短距離レースでは、時速約70㎞に達することもあるそうです。

競輪はなぜそんなに速いの?最高速度を出せる4つの秘密

実は競輪競技の自転車は市街地で走っているような一般自転車とは全く違う自転車なんです!

それどころか、早さを追求するために設計に様々な工夫がほどこされています。
では普通の自転車と何が違うのか?そんな速さの秘密についてご説明いたします。

①値段が10万円以上もするものも!競輪選手オーダーメイドのフレーム

まずは競輪用自転車(ピスト)のフレームの説明いたします。
自転車の土台にあたるボディフレームですが、選手の体格に合わせて1つ1つオーダーメイドで作成されます。

そして、重量はなるべく軽量しなければならないため軽量で頑丈な樹脂素材を使用されています。
ものによっては、このフレーム作成時だけで10万円以上かかることもあり特殊な技術が集約していることが伺えますね。

②接地面が少ないタイヤなど無駄を排除した競輪専用自転車

自転車を作成する上で速さの追及点はボディ一だけで留まりません。
一般的な自転車とは異なり、速度に必要な考えは無駄なものを一切排除するという点が大きな相違点かもしれません。
競輪自転車はかなりタイヤが細くなっており、接地面積をぎりぎりまで薄くしたタイヤを使用しています。
ギヤも一般とは違い、多段式ではなく固定ギヤを採用しています。ギヤに関してはペダルと後輪の動きが
完全にシンクロ固定となっているため、足の動きを止めることが容易ではないということになります。
そして一番驚く点は、ブレーキが類が撤去されているということで一瞬で止まることができなくなっています。
※公道練習時はブレーキ装着自転車を使用しています。

これらの常識を覆す仕様が速さに繋がっているんですね。

③カント(傾斜)が大きくついた競輪場のコース

平塚競輪場カント写真

速さの秘密は自転車のみならず、多くの競輪場でも工夫されています。

コースの競走路(バンク)は基本的にには傾斜(カント)がつけられており、平均的に約30度とされています。

このカントにより速度を落とさなくてもコーナーを曲がることが可能になっているわけです。
カントを付けることで逆に「速く走らないと、走行中よろめくなどまともに走れない」状態になってしまうため、最後まで一定の速度を維持しなければ事故に繋がってしまいます。

つまりコーナーを上手く曲がるには必然的に速く走らなければならないということですね。

④競輪選手の鍛えられた脚とラインを使った競輪独自の戦略

競輪選手は肉体づくりにも余念がない!

競技自転車を乗りこなすためや、傾斜がついたバンクを走り抜くため常に速く走れるための体づくりをおこなっています。
それもただ単に早く走るだけでなく、下半身を重点的に鍛えるためにトレーニング内容も試行錯誤されています。
特徴として一般的な成人の体に比べて、競輪選手は太ももを中心に筋肉量が尋常ではないほど鍛え抜いています。

参考記事:競輪選手は太ももが太いほど強い? 強さと太ももの関係やトレーニング方法に迫る!

走行中ライン戦と呼ばれる駆け引きをしている!

競輪にはライン(並び)というものが存在し2~5人の選手がチームを組み連携しながら走行することが多く見られます。
メリットとして風の抵抗が少なくなることにより体力温存が可能になり、温存した体力をラスト1週で一気に使い勝負をするということです。
そして、風の抵抗が少なくなるメリットは体力配分だけでなく、単独走行に比べて容易にトップスピードに到達しやすいといった点もあります。

なかにはアジアチャンピオンも 競輪競技中における死亡事故

時速70㎞にも達する競輪の世界は、選手同士が体をぶつけながら激しいバトルが繰り広げられまさに肉体の死闘です。
そんなデッドヒートがあり危険な競技でもある競輪は、過去に競技中に死亡した選手もいます。

亡くなられた選手のなかにはアジアチャンピオンに輝いた内田慶選手含め現在まで何名もいるのです。

内田慶選手の事故は、2008年9月11日、第51回オールスター競輪で起きました。
レース終盤のコーナー付近で主導権争いの接触に合った末、落車による重傷で亡くなられました。
速度を争う競技は、常に危険と隣り合わせということを忘れてはなりません。

競輪の速度についてまとめ

速度についてフォーカスしたご紹介でしたが、いかがでしたでしょうか?
速さを追求するということは、様々な条件が必要でありその”速さ”に魅せるのが競輪選手たちなのです。

公営競技の中でも肉体一つで70km/hの世界で戦い抜く競輪は過酷で熱い思いが込められています。
選手達のデッドヒートにはこんなプロセスが含まれているということを念頭において競輪を楽しむのもいいかもしれません。

参考: 競輪勉強シリーズ

ウィンチケット編集部
WINTICKET(ウィンチケット)のコンテンツ編集チーム。初心者でも0からわかる記事を150本以上執筆した他、グレードレースを中心とした「WINTICKETニュース」、ABEMA 競輪・オートレースチャンネルでの番組の見どころをまとめたレポート記事の執筆を担当。

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