ガールズグランプリ2021 出場選手を深堀り!
競輪界年末の大一番『KEIRINグランプリ2021(GP)』シリーズの初日、12月28日(火)にガールズケイリン選手ナンバーワンを決める『ガールズグランプリ2021(GGP)』が開催される。
出場選手の主な選抜方法は11月20日(水)に小倉競輪場で行われた『ガールズグランプリトライアルレース(GGPTR)』での優勝者2名と、残りは獲得賞金ランキング上位者となる。激しい賞金争いの末、出場権を勝ち取ったのは以下の選手たちである。
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《ガールズグランプリ2021出場予定選手》
〈正選手〉
○児玉 碧衣(コダマ アオイ) 福岡・108期 GGPTR(アメジスト)優勝
○小林 優香(コバヤシ ユウカ) 福岡・106期 GGPTR(トパーズ)優勝
○石井 寛子(イシイ ヒロコ) 東京・104期 獲得賞金ランキング2位
○小林 莉子(コバヤシ リコ) 東京・102期 獲得賞金ランキング3位
○高木 真備(タカギ マキビ) 東京・106期 獲得賞金ランキング4位
○尾方 真生(オガタ マオ) 福岡・118期 獲得賞金ランキング5位
○坂口 楓華(サカグチ フウカ) 京都・112期 獲得賞金ランキング6位
〈補欠選手〉
●鈴木 美教(スズキ ミノリ) 静岡・112期 獲得賞金ランキング7位
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各選手の略歴を順に紹介していこう。
児玉碧衣選手(福岡・108期・GGPTR優勝)
ガールズグランプリ開催時は26歳。登録地は福岡県(九州地区)。ホームバンクは久留米競輪場。
中学、高校とバレーボールをやっていたが、筑陽学園高等学校卒業後、108期生として日本競輪学校(以下、競輪学校)へ入学。在校成績2位、卒業記念レースは決勝2着で卒業した。デビューは2015年7月2日の松戸開催。惜しくも決勝2着だった。
先輩に小林優香がいる藤田剣次選手(福岡・85期)の一門で練習に励み、同年8月26日の弥彦開催で初優勝。ビッグレース初優勝は2018年8月にいわき平競輪場で行われた『ガールズドリームレース』だった。同年、ガールズグランプリ初出場で初優勝。初の年間女王、そして初の年間最優秀選手賞も獲得した。
2019年は出場したビッグレースでオール3連対。グランプリで2連覇を果たし、賞金女王と年間最優秀選手賞を2年連続で獲得した。2020年も強さを維持し、ガールズケイリン史上2番目の早さとなる、デビューから4年11カ月23日、史上最短となる365戦目で通算300勝を達成。史上初のガールズグランプリ3連覇、3年連続で賞金女王と年間最優秀選手賞を受賞した。この年、史上最速となるデビューから5年1カ月13日で通算獲得賞金額1億円も突破している。
そして今年も圧倒的な強さを見せつけるのかと思いきや、7月に函館で開催された『ガールズケイリンフェスティバル』ではまさかの未勝利。後に「負けて学んだことがたくさんあった」と語っているが、そこから奮起し、5年連続ファン投票1位に選ばれて臨んだ8月の『ガールズドリームレース』では見事優勝。ガールズケイリンの連勝記録を更新して31に伸ばし、グランプリ前の次点で通算399勝。年末勝てば4連覇&通算400勝達成となる。
初めてガールズグランプリを優勝した思い出の地、静岡競輪場で再び光り輝くティアラを戴冠し、「やっぱり児玉だ」というファンの声を浴びながら「HEROINE」として君臨する姿を見たい。
小林優香選手(福岡・106期・GGPTR優勝)
ガールズグランプリ開催時は27歳。登録地は福岡県(九州地区)。ホームバンクは久留米競輪場。
元実業団チームの選手だった母親の影響で小学生の頃からバレーボールを始め、熊本市立必由館高等学校ではインターハイにも出場した。佐賀女子短期大学へ進んでもバレーボールを続けていたが、2012年のロンドンオリンピックの男子チームスプリントをたまたま見たことがきっかけで、自転車競技の道へ進むことを決意。106期生として競輪学校へ入学した。
在学中は女性生徒として初のゴールデンキャップを獲得。男女通じて史上初となる3回連続ゴールデンキャップも獲得している。在校成績は1位。卒業記念レースの決勝では同期の石井貴子(千葉)に負けて3着だった。その石井と共に在校時からナショナルチーム入りして世界大会にも出場している。
2014年5月16日の岸和田開催にて、鳴り物入りでデビューし、完全優勝。年末のガールズグランプリに本命で出場したものの、3着に沈んでしまう。しかし翌2015年にグランプリ初優勝。初の年間女王となり、前年に引き続き、2年連続で最優秀選手賞を獲得している。
2016年は落車事故によるケガが続いて、思ったように走れず仕舞い。2017年、太田りゆ(埼玉・112期)と共にトラック短距離女子エリート強化指定選手に選ばれると、同年よりナショナルチームとしての活動に重きを置くようになった。
そして今年、5月のケイリン国際大会で日本人女子として初の金メダルを獲得し、東京五輪でも金が期待されたが、準々決勝で6着敗退。女子スプリントも1回戦で日本新をマークしたが、2回戦で敗退となってしまった。
その後はガールズケイリンへの出場を増やしたが賞金でのグランプリ出場は絶望的。優勝しかないトライアルで見事に勝ったのは、さすが「怪物少女」である。
3年後のパリオリンピック挑戦を表明した、日本女子自転車競技ケイリンのトップ選手。「児玉さんの4連覇を止めたいです」と語った彼女が今年のオリンピックでの悔しさを晴らすべく、競輪界の「HEROINE」を目指す。
石井寛子選手(東京・104期・獲得賞金ランキング2位)
ガールズグランプリ開催時は35歳。登録地は東京都(関東地区)。ホームバンクは京王閣競輪場。
中学では陸上をやっていたが、埼玉県立杉戸農業高等学校にて自転車競技を始めた。明治大学文学部へ進学後も競技を続け、数々の大会で優勝。社会人になってもトップ選手として、圧倒的な強さを誇っていた。妹の石井貴子選手(東京)と共に104期生として競輪学校へ入学したのは2012年のこと。在校成績は圧倒的1位。卒業記念レースもオール1着の完全優勝だった。
2013年5月10日、京王閣競輪場でのデビュー戦ももちろん完全優勝。同年9月15日、ファン投票2位で選抜された『ガールズケイリンコレクション』にてビッグレース初出場&初優勝を果たす。
その後も特別競輪常連として強さを誇り、2017年のグランプリで初優勝。賞金女王となり、2013年に続いて2回目の最優秀選手賞を獲得した。
2019年には奥井迪に次いでガールズケイリン2人目の通算300勝達成。同年、ガールズケイリン史上初の通算獲得賞金額1億円を突破。昨年は史上初の通算優勝100回を達成し、今年2月には通算400勝も果たしている。
今年は他にもガールズケイリン初の全場優勝達成や、後に児玉選手に抜かれてしまったがガールズケイリン最多連勝記録に並んだり、7月の『ガールズケイリンフェスティバル』で2年ぶりの特別競輪優勝したり。12月の別府開催にて年間24度目の優勝をして、小林優香選手が持つ年間優勝記録を更新するなど、大活躍。ガールズケイリン初となる、グランプリまでの獲得賞金2,000万円超えも果たしている。
さあ、年末の総決算。いつも通りにSを取って正攻法から捲りでも差しでも勝てる自在脚で、2017年以来、4年ぶりの「HEROINE」となり、最高の1年を締めくくってくれるはず。
小林莉子選手(東京・102期・獲得賞金ランキング3位)
ガールズグランプリ開催時は28歳。登録地は東京都(関東地区)。ホームバンクは立川競輪場。
小学3年生からソフトボールを始めて、中学、高校と続けた。東海大学菅生高等学校ソフトボール部では捕手として活躍し、全国市立高等学校女子ソフトボール選抜大会でベスト8となっている。しかし実業団チームのセレクションは不合格に。そのとき担当だった先生からケイリンならオリンピックを狙えるかもというアドバイスを受けて、2010年7月に行われた女子自転車競技選手発掘プロジェクト『ガールズサマーキャンプ』に参加。そこでジュニアの強化指定選手に選出されたため、ガールスケイリン第1回生入学試験を受験して合格した。
ガールズケイリンとしては1期目にあたる、102期生として競輪学校へ入学。在校成績は6位。卒業記念レースは決勝3着。デビューは2012年7月1日の平塚競輪場で、48年ぶりの女子競輪復活開催となったガールズケイリンのオープニングレースがデビュー戦となり、その節で優勝してガールズケイリン初代優勝者として歴史に名を刻んだ。同年のグランプリにも出場し、ガールズグランプリ初代優勝者となった。
その後、ビッグレースの常連となったが、優勝はなく。しかし着実に賞金を獲得していき、昨年に史上4人目となる通算獲得賞金額1億円を突破した。今年は通算300勝も達成。初代女王が静岡の地で再び返り咲き、「HEROINE」となって花開いてほしい。
高木真備選手(東京・106期・獲得賞金ランキング4位)
ガールズグランプリ開催時は27歳。登録地は東京都(関東地区)。ホームバンクは京王閣競輪場。
父の転勤先だった岡山県吉備郡真備町(現在は岡山県倉敷市真備地区)で生まれ、奈良時代に遣唐使として名を残した偉人の吉備真備にちなんで名付けられた。東京都町田市で育ち、中学ではハンドボール部に入る。チームはジュニアオリンピックカップで3位に。文化学園大学杉並高等学校でもハンドボール部で活躍し、大学に推薦入学することも可能だったがガールズケイリンの番組を見て、競輪の道を目指すことになった。
2013年に106期生として競輪学校へ入学。在校成績は2位。卒業記念レースは決勝で2着。2014年5月9日に奈良競輪場でデビュー。優勝はできなかったが、同年8月9日の玉野開催で初優勝を挙げた。
翌2015年の『ガールズケイリン総選挙』で2位に選出され、『ガールズケイリンコレクション』で初のビッグ出場。2016年はファン投票1位で出場し、特別競輪の初タイトルを獲得する。同年にグランプリ初出場を果たすも、結果は6着。2017年、『ガールズドリームレース』で優勝。この年もグランプリに出場したが4着。2018年、3年連続グランプリ出場も3着。
2019年は体調不良や落車が続き、満足な結果が残せず、グランプリ出場も叶わなかった。この悔しさを乗り越え、昨年は7月の『ガールズケイリンフェスティバル』で優勝し、3年ぶり3つ目のビッグタイトルを獲得。9月の『ガールズケイリンコレクション』でも優勝。同年、通算300勝を達成し、絶好調で臨んだグランプリであったが、3着に沈んでしまった。
ガールズケイリン史上5人目となる通算獲得賞金額1億円を突破した今年。念願のガールズグランプリ制覇を成し遂げて「HEROINE」となれるだろうか。ちなみに「結婚はグランプリを獲ってから」と公言している高木選手。そちらも合わせて是非とも叶えてほしい……。
尾方真生選手(福岡・118期・獲得賞金ランキング5位)
ガールズグランプリ開催時は22歳。登録地は福岡県(九州地区)。ホームバンクは久留米競輪場。
中学、高校と陸上に励み、九州学院高等学校時代には熊本高等学校総合体育大会の100m走で2位。インターハイにも出場している。高校卒業後は小林優香選手や児玉碧衣選手も師事する藤田剣次選手に弟子入りし、118期生として日本競輪養成所(合格時は日本競輪学校)に入所。女子史上7人目となるゴールデンキャップを獲得するなど、強さを発揮して在所成績は2位。卒業記念レースの優勝者として臨んだ、昨年5月29日の小倉開催『競輪ルーキーシリーズ2020』では期待に応えて完全優勝を収めている。本格デビューは7月6日の青森開催。すべて1着とはならなかったが、優勝を果たした。
同年11月の『ガールズグランプリトライアル』。新人選手は規定の最低出走回数(当年1月から8月で32出走)を満たすことができないため、通常では出られないが「7月と8月の2カ月で優勝2回以上」かつ「同期間中の競走得点がガールズケイリン全選手中上位7位以内」という特例によって出場した。グランプリ出場は叶わなかったが、大きな経験になったであろう。
そして今年、4月に西武園競輪場で開催された新人女王決定戦『ガールズフレッシュクイーン』に出場して2着。7月の『ガールズケイリンフェスティバル』にも出場して決勝進出(6着)と着実に賞金を獲得していっての初グランプリ出場となった。
デビューする前から児玉碧衣選手も一目置いていた強さを存分に発揮し、デビュー2年目でのティアラ戴冠。若手「HEROINE」の誕生を願う。
坂口楓華選手(京都・112期・獲得賞金ランキング6位)
ガールズグランプリ開催時は24歳。登録地は京都府(近畿地区)。ホームバンクは向日町競輪場。
自転車競技をしていた父親の影響で幼い頃から自転車に親しみ、小学3年生から乗り始める。中学時代は陸上を主にやっていたが、高校で本格的に自転車競技の道へ。17歳以下の全日本ロードレース・タイムトライアルで優勝も飾っている。高校卒業後の進路を決める際に父親から競輪という選択肢もあると聞かされ、その道へ進んだ。
2016年、112期生として競輪学校へ入学。最高成績は8位。卒業記念レースは決勝まで進むも3着だった。2017年7月12日、高松競輪場でデビューしたが優勝は叶わず。初優勝はその1年後、2018年7月のことだった。そこから着実に力を付けていって、去年の後半くらいから頭角を現し、今年3月の『ガールズケイリンコレクション』で特別競輪初出場、2着。7月の『ガールズケイリンフェスティバル』でも決勝まで進み、4着となった。
今年の目標として「ベスト5」を公言していたが、それに限りなく近い獲得賞金ランキング6位は立派な結果だろう。どんなレースでも自分の力を100%出し切った見応えのあるレースをするという「努力の女」が「HEROINE」へ向かってもがき切る。
以上、7名による今年のガールズ総決算。福岡の藤田剣次一門の3人に東京支部3人、そして近畿1人という図式だが、どんな展開になるのだろうか。年を追うごとに選手層が厚くなっているガールズでは様々な戦術が求められるようになってきた。位置取りや仕掛けの予想からして、実に楽しみな『ガールズグランプリ2021』である。
- ウィンチケット編集部
- WINTICKET(ウィンチケット)のコンテンツ編集チーム。初心者でも0からわかる記事を150本以上執筆した他、グレードレースを中心とした「WINTICKETニュース」、ABEMA 競輪・オートレースチャンネルでの番組の見どころをまとめたレポート記事の執筆を担当。
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