競輪コラム

弥彦競輪を徹底深堀! バンクの特徴や特別競輪の見所、歴史などを解説!

弥彦競輪のバンクの特徴について

弥彦競輪バンク写真
施行者は新潟県西蒲原郡弥彦村。日本では唯一となる村営の公営競技場『弥彦競輪場』は1周400mのバンクです。

センター部の路面傾斜、いわゆるカントは32°24′17″と400バンクの中では平均的ながら(※1)、見なし直線は63.1mと2番目の長さになっています(※2)。

※1:400バンクで最もカントがキツいのは松阪の34°25′29″、最も緩いのは西武園の29°26′54″
※2:400バンクで直線が最も長いのは武雄の64.4m、最も短いのは佐世保の40.2m

直線が長い場は「捲りや追い込みが決まりやすい」というのが基本。ただし弥彦の場合、1着の決まり手データを見ると「捲りは少なめ、差しが多め」になっています。その理由としてまず挙げられるのは、冬季開催がないということ。

冬の弥彦村は積雪が多く、開催は4月から11月まで。毎年3月にはバンクの張り替えをおこなうため、「弥彦は重い」という声が選手から聞こえてきます(新しい走路はタイヤに負荷が掛かりやすくて踏むのに力がいるから)。重いバンクは先行選手に脚を使わせますので、差しが決まりやすくなるのです。

次に風。弥彦競輪場は弥彦山の麓、弥彦競輪場と寶光院の境内にあります。西側ホームのすぐ裏に山があるため西風が吹き込み、3コーナー辺りから捲っていこうとするともろに向かい風を浴びてしまいます。捲ろうと外に出した選手は前に出切れないまま、最終コーナーへ。最後にこの造りが問題となります。

競輪場の走路は最終コーナーから直線へとスピードに乗せて走り抜けやすいように緩和曲線を設けています。弥彦はこの曲線がキツく、外を捲っていこうとする選手はスピードを出し切れません。

風の影響とこの造りで捲りは届かず、内を走る逃げのラインが残る。あとはゴールまでの長い直線で番手が追い込んで差しの決着となりやすいのです。加えて3番手が確定板に載りやすいといった傾向も見られるので、弥彦は「逃げのラインの番手差し目決着」が狙いになります。番手、3番手のズブズブも押さえるのが肝要。

ちなみに西風ではなく南風が吹き込む場合はバック追い風となり、2コーナーからの早めの仕掛けならカマし切れます。なのでピンポイント天気予報で南風が強いときは、バック回数と捲りの1着が多い先行選手の引っ張るラインが本線になり、ホーム向かい風と直線の長さから番手差しまでが狙い目となるので注意しましょう。競輪で風は重要です。

風は弱く、吹くと南風が多い夏の7月に例年開催されているのが開設記念競輪(G3)の『ふるさとカップ』です。今年はG1がおこなわれるため、開催はありませんでした。

2021年は寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(G1)が開催

そう、弥彦での開催は6年ぶり6回目となる『寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(G1)』が10月21日(木)から24日(日)の4日間でおこなわれます。

地元の新潟からは諸橋愛選手(S1・新潟・79期)や鈴木庸之選手(S1・新潟・92期)などが参戦。同地区のベテラン優勝候補の平原康多選手(SS・埼玉・87期)や徹底先行が売りの若手・菊池岳仁選手(S2・長野・117期)との連係が楽しみですね。

対するはS級S班の面々に『オールスター(G1)』で優勝した古性優作選手(S1・大阪・100期)や2014年(平成26年)に弥彦でおこなわれた親王牌で優勝している深谷知広選手(S1・静岡・96期)、9月の『共同通信社杯(G2)』で優勝した山口拳矢選手(S2・岐阜・117期)などなど。強豪揃いですが、風もバンクも熟知した、勝手知ったる諸橋選手が後ろで構える地元・関東地区ラインの活躍に期待しましょう。

弥彦競輪の歴史・記念競輪について

弥彦競輪入口写真

元々は弥彦神社の再建事業として境内に造られた、日本初の400mトラック『弥彦神社陸上競技場』でした。戦後復興のため、これをバンクに変えて競輪場として開設したのが1950年(昭和25年)のこと。1964年(昭和39年)と2009年(平成21年)には新潟国体の自転車競技トラックレース会場として使用されました。

特別競輪は1991年(平成3年)、1992年(平成4年)、1998年(平成10年)、2002年(平成14年)、2005年(平成17年)、2008年(平成20年)に『ふるさとダービー(かつてのG2)』が開催。村や競輪場の雰囲気から「ふるさとダービーに最もふさわしい競輪場」といわれていました。

ふるさとダービー廃止後は2011年(平成23年)に寛仁親王牌が開催され、2015年(平成27年)まで5年連続でその舞台を担ってきたのです。前述した通り、今年は6年ぶり6回目。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から入場制限をおこなっての開催となりますが、地元の人にとっては待ちわびたG1親王牌の開催となります。

2017年(平成29年)からはミッドナイト競輪が開始。2019年(令和元年)からナイター競輪も開催されているので、夜の弥彦バンクも全国の競輪ファンにとってはおなじみでしょう。

マスコットキャラクターは鹿(ディア)をモチーフに、競輪のスピードと組み合わせたネーミングの「スピーディア」。競輪場のある弥彦神社は万葉集にも読まれているほど由緒正しき神社で、その歌に出てくる鹿をゆかりの深いものとして飼育しています。

鹿に出逢える弥彦神社を始めに観光スポットが多数あり、温泉郷としても知られる弥彦村。旅打ち好きにオススメの競輪場です!

ウィンチケット編集部
WINTICKET(ウィンチケット)のコンテンツ編集チーム。初心者でも0からわかる記事を150本以上執筆した他、グレードレースを中心とした「WINTICKETニュース」、ABEMA 競輪・オートレースチャンネルでの番組の見どころをまとめたレポート記事の執筆を担当。

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