競輪コラム

小倉競輪を徹底深堀! バンクの特徴や特別競輪の見所、歴史などを解説!

小倉競輪のバンクについて解説

小倉競輪バンク写真
「競輪発祥の地」であり、ファンから「競輪の聖地」と呼ばれている『小倉競輪』の走路は1周400mです。

1948年(昭和23年)の開設時は500mありましたが、後に400mに改修され、1998年(平成10年)に今の『北九州メディアドーム』へ移行した際、さらに改良が加えられています。

コンセプトは「走りやすさ」。全国の競輪場のデータから最も良い組み合わせで設計された走路は選手の脚力向上に合わせた「高速バンク」であること、コーナーから直線へ繋がる「緩和曲線が長くてスムース」であること、外側への膨れを抑えるために「直線部分の勾配はできるだけ大きく」することがテーマになっています。

さらに『前橋競輪場(グリーンドーム前橋)』に次いで全国2番目のドームバンクにしたことで、風の影響はなし。まさに「走りやすく」、選手の脚力差が結果に繋がりやすい。「聖地」と呼ばれるのに相応しい走路なのです。

バンクデータは見なし直線が56.9mで400バンクの平均値(※1)。カントは34°1′48″で平均よりキツめの設定になっています(※2)。

※1:400バンクで直線が最も長いのは武雄の64.4m、短いのは佐世保の40.2m
※2:400バンクで最もカントがキツいのは松阪の34°25′29″、緩いのは西武園の29°26′54″

一般的に競輪は逃げより捲り、捲りより差しが1着になりやすく、2着決まり手は番手がそのまま入るマークか、3番手の差し、逃げ残りという順が妥当で、小倉のデータはまさにそのようになっていることから、「競輪らしいレースが展開される場」と言っていいでしょう。

実力が拮抗する高グレードのレースになればなるほど、その傾向は高まるので、毎年11月におこなわれる『競輪祭(G1)』ではオーソドックスな展開予想が軸になります。先行選手の実力差で逃げのラインが勝つか、捲りのラインが勝つかを予想。逃げが勝つなら先行と番手の実力差を比べて同等なら「差し目を本線」に。番手のほうが実力差が明らかに高ければ「番手、3番手のズブズブ」まで押さえる。捲りが勝つなら「ラインそのまんまを本線」に。「逃げラインの番手3着残り目」までを押さえるというのが基本となります。

毎年、『KEIRINグランプリ(GP)』出場への最後の戦いとなる競輪祭。その舞台となる小倉競輪場のことはトップ選手であれば皆、熟知しているでしょう。地元有利といったものはありません。前述した基本的な競輪の展開予想を基に、加味される要素としてはGPに出たい気持ちがあります。

例えば11月18日(木)から23日(火・祝)におこなわれる今年の競輪祭へ向けて、GP出場枠当落線上にいるのは山口拳矢選手(S2・岐阜・117期)と浅井康太選手(S1・三重・90期)、吉田拓矢選手(S1・茨城・107期)の3人。彼らのやる気がレース展開に影響するでしょう。

同シリーズの前半3日間でおこなわれる『ガールズグランプリトライアルレース』のほうでは坂口楓華選手(京都・112期)、高木真備選手(東京・106期)、鈴木美教選手(静岡・112期)辺りが獲得賞金額では当落線上に。予選の2戦ともひとつでも上の着が欲しいのはこの3人になります。

これらの選手以外でも、優勝すればグランプリ出場となる競輪祭シリーズ。トップ選手が皆、今年のすべてを賭けてくる節だけに、とても楽しみですね。最後にこの舞台となる小倉競輪場の歴史についてお話しましょう。

小倉競輪の歴史について

小倉競輪バンク写真2
戦後すぐに全国規模の体育大会開催についての話し合いがGHQを交えた政府内でおこなわれ、第1回国民体育大会(国体)が近畿地区でスタートしたのは1946年(昭和21年)のこと。その2年後の1948年(昭和23年)、第3回大会の舞台が福岡に決まり、旧・小倉市が自転車競技の会場を受け持つことになりました。

同年、戦災復興及び自転車産業の振興を目的とする自転車競技法が国会で可決されたこともあって、国体のために建設する競技場をそのまま競輪に活用すべく、旧・小倉市長であった濱田良祐氏の尽力によって競輪事業の誘致に成功。小倉競輪場として開設され、日本で初めての競輪がおこなわれたのです。

その後、50年に渡って競輪人気をけん引してきた旧・小倉競輪場は1998年(平成10年)に北九州メディアドームへ移行し、今に至ります。

1951年(昭和26年)、第1回競輪祭、開催。当時は他の競輪場でも“競輪祭”の名を冠したシリーズがおこなわれていましたが、「競輪発祥を記念するため、『競輪祭』という名称のレースは小倉競輪場においてのみ、実施すること」とのお達しを通産省(今の経済産業省)が出したため、以後、競輪祭は小倉競輪場で恒久的に開催されています。

最初の頃は数年おき、第6回大会からは毎年おこなわれ、今年で63回目となった競輪祭。「4日開催以上のグレードレース(G3以上)は原則年1節のみ」という競輪のルールに従い、記念競輪がおこなわれない小倉競輪場にとって、競輪祭は開設記念のようなもの。そして日本初の競輪場の開設記念とは、すなわち「競輪の始まりを記念する」大会。文字通り、年に一度の競輪界を上げての“お祭り”を、打鐘をモチーフにした小倉競輪場の妖精であるマスコットキャラクターの『かねりん』と一緒に大いに楽しみましょう!

ウィンチケット編集部
WINTICKET(ウィンチケット)のコンテンツ編集チーム。初心者でも0からわかる記事を150本以上執筆した他、グレードレースを中心とした「WINTICKETニュース」、ABEMA 競輪・オートレースチャンネルでの番組の見どころをまとめたレポート記事の執筆を担当。

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