競輪コラム

『高松宮記念杯競輪』東の猛者・西の巧者を退け漕ぎ上がり、頂きに立つのは誰だ!!

1950年(昭和25年)、戦後復興の一環として滋賀県大津市にある近江神宮外苑運動場の一角に競輪場を開設するにあたり、近江神宮と縁のあった高松宮宣仁親王殿下に賜杯を請願。無事承諾されたため、第1回『高松宮同妃賜杯競輪』の開催に至った。

あれから72年の年月を経て、今年も『高松宮記念杯競輪』が幕を開ける。

長年、大津びわこ競輪場にて行われていたが、同競輪場が2010年(平成22年)に廃止となってしまったため、以後持ち回りとなった。そこで毎年のように手を上げ続けていたのが同じ近畿の岸和田競輪場だ。

これまでに通算5回開催。2019年(令和元年)より全面改修工事に入ってしまって2年間は誘致することができなかったが、今年、2021年(令和3年)の5月31日(月)にリニューアルオープンし、満を持しての開催となる。

6月17日(木)から20日(日)までの4日間、東西に分かれたトップ選手たちがそれぞれの頂点、そして日本の輪界頂点を目指す戦い、『高松宮記念杯競輪』。

新しく生まれ変わった岸和田競輪場にて、その火蓋が切られようとしている。

東地区と西地区に分かれて勝ち上がった者だけが
相見える決勝にて賜杯をもぎ取るのは東か西か!

北日本地区、関東地区、南関東地区のいずれかに在籍する選手を「東地区」、中部地区、近畿地区、中国地区、四国地区、九州地区のいずれかに在籍する選手を「西地区」とし、それぞれに別れて予選から準決勝まで戦う。そこで最後まで勝ち残った9名が決勝にて優勝を争うこととなる。

初日は東、西それぞれに特別選抜予選があり、上位4名が東は「青龍賞」、西は「白虎賞」へと進める。これらのレースに出場する選手は無条件で準決勝へ進出し、一次予選、二次予選を勝ち上がってきた選手と激突。東、西のそれぞれ2個ずつ、合わせて4個の準決勝で2着以内に入った計8名と各3着の中から1名、合わせて9名が決勝へと駒を進められる。

つまり初日の特別選抜予選で勝ち上がってしまえば準決勝までスライドできるので、いきなりトップギアでもがき合うこと間違いなしだ。各地区の出場予定選手を見ていこう。

西地区・初日特別選抜予選出場予定選手

松浦悠士選手(SS・広島・98期)
清水裕友選手(SS・山口・105期)
古性優作選手(S1・大阪・100期)
稲川翔選手(S1・大阪・90期)
浅井康太選手(S1・三重・90期)
小倉竜二選手(S1・徳島・77期)
山田英明選手(S1・佐賀・89期)
東口善朋選手(S1・和歌山・85期)
村上博幸選手(S1・京都・73期)

西地区は中部が1名、近畿が4名、中四国が3名、九州が1名という組み合わせ。

地元ホームの岸和田で、悲願のGⅠタイトルを是が非でも獲りに行きたいのが古性選手だ。同じく地元の稲川選手とラインを組むのは間違いないだろう。問題は東口選手と村上選手が素直に3番手、4番手に付くのかというところ。

4着条件なのでそのまま4名で決まれば問題ないが、中国ゴールデンコンビと四国のドンが組む強敵がいると考えると、4番手はリスクが高い。村上選手は単騎になる浅井選手のうしろに付けるのではなかろうか。直前の別府競輪準決で実際にその2人のラインで回って、村上選手は勝っている。

よって、並び予想は「古性-稲川-東口・松浦-清水-小倉・山田・浅井-村上」。

予選まわりになった場合でも、近畿には寺崎浩平選手(S2・福井・117期)や野原雅也選手(S2・福井・103期)といった強力な機動型がいるので心強い。四国にも太田竜馬選手(S1・徳島・109期)、中部にも山口拳矢選手(S2・岐阜・117期)、九州にも山崎賢人選手(S1・長崎・111期)がいる。むしろこれら若手には優出の期待がかかる程だ。

一方、東地区の特別選抜予選メンバーはこのようになっている。

東地区・初日特別選抜予選出場予定選手

郡司浩平選手(SS・神奈川・99期)
守澤太志選手(SS・秋田・96期)
岩本俊介選手(S1・千葉・94期)
佐藤慎太郎選手(SS・福島・78期)
和田健太選手(SS・千葉・87期)
深谷知広選手(S1・静岡・96期)
諸橋愛選手(S1・新潟・79期)
新山響平選手(S1・青森・107期)
吉田拓矢選手(S1・茨城・107期)
(※出場予定だった平原康多選手(SS・埼玉・87期)はケガにより欠場)

北日本3名、関東2名、南関東4名という組み合わせだ。

残念ながら欠場となってしまった平原選手の代わりに繰り上がりで特選シード権を獲得したのは岩本選手。これで南関が4名となったのだが、千葉の大先輩がいるとなれば別線の前を選択するだろう。岩本-和田、深谷-郡司の二手に分かれると予想。

ただ、道中は4人がひとかたまりとなって走るだろうと考えれば、番手発進できる郡司選手が本命になるのは間違いない。ダービーを僅差で敗れた屈辱を晴らすべく、確実に決勝進出を狙ってくるはず。予選まわりになっても根田空史選手(S1・千葉・94期)、松井宏佑選手(S1・神奈川・113期)と揃っている南関は、とにかく選手層が分厚い。

対抗は北日本勢。新山選手、守澤選手、佐藤選手の並びになる。佐藤選手はちょっと調子を落としていたが、ダービーではきっちりと仕上げてきた。さすがトップ・オブ・熟年だ。今回も鍛え上げてきてくれるだろう。近況でいうと守澤選手も絶好調。佐藤選手が後ろを止めつつ、新山選手が前を守り切ればたちまち守澤選手が本命に躍り出る。

予選まわりになっても、北日本には若手らしからぬ実力を備えてきた高橋晋也選手(S1・青森・115期)がいるのは心強い限り。

関東は平原選手が抜けた穴が大きすぎる。2枚ではちょっと頼りないが、同期の新山選手を簡単にはいかせまいと吉田選手が奮闘しでの諸橋選手残り目は一考かと。

以上、東地区の並びをまとめると「岩本-和田・深谷-郡司・新山-佐藤-守澤・吉田-諸橋」の4分戦。

南関が2+2=4のかたまりで前に張って、展開を作っていくのではなかろうか。そこに新山と吉田がどのタイミングで仕掛けていくかがポイントとなる。

北日本は新山選手、佐藤選手、守澤選手の並びで間違いない。佐藤選手はちょっと調子を落としていたが、ダービーではきっちりと仕上げてきた。さすがトップ・オブ・熟年だ。今回も鍛え上げてきてくれるだろう。近況でいうと守澤選手も絶好調。逃げる新山の交わしの交わしもあり得ない話じゃない。もちろん、ナショナルチームでもう一段、実力がアップしている新山選手の逃げ切りもある。優勝が狙える脚力に鍛えられている。

予選まわりになっても、北日本には若手らしからぬ実力を備えてきた高橋晋也選手(S1・青森・115期)がいるので安心だろう。

新山選手をあっさり行かせると南関は展開が苦しくなるので、深谷選手が早めに出切る可能性もあり。ここがポイントとなる。

特別選抜予選のメンバーを見ても判るとおり、東地区のほうが選手層は厚い。だからといって東地区有利とならないのが、東西対抗の「宮杯」ならでは。同地区からは最大でも5名しか決勝にはいけない。どうしても潰し合いになってしまい、厚めのラインが組めなくなってしまうことが多いのだが、今年はどうなるか。

リニューアルして新しくなった岸和田で行われる伝統の一戦、実に楽しみである。

ちなみに改修した岸和田は1コーナーの建物がなくなってしまったので、風の影響がさらに強くなり、強風の際はバックの追い風、ホームの向かい風がかなり強くなるとのこと。天候が悪化するときは風向きが逆になるので、ご注意を。

ウィンチケット編集部
WINTICKET(ウィンチケット)のコンテンツ編集チーム。初心者でも0からわかる記事を150本以上執筆した他、グレードレースを中心とした「WINTICKETニュース」、ABEMA 競輪・オートレースチャンネルでの番組の見どころをまとめたレポート記事の執筆を担当。

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