競輪コラム

競輪のカントってなに?カントの角度によって異なる予想方法も解説!

競輪場のバンク(走路)には「カント」と呼ばれる傾斜がついています。競輪場に行ったことがある人であれば、ご存じの方が多いのではないでしょうか。

「カント」とは角度のことで、直線部分とコーナー部分についているのですが、どのくらいの角度がついているのかについては競輪場によって異なります。

この「カント」がついているのは理由があり、また、レースの予想にも大きく関係してくるのは、予想をしている人にとっては織り込み済みの要素です。

本記事では、カントに関する豆知識とその役割、予想する際にどのような形で関わってくるのかについて解説していきます。

競輪のカントとは?

実際に選手が走る競輪場のバンク(走路)を見ると、急勾配にも見える傾斜(角度)がついているのが分かります。

実際、比較的ゆるめといわれる競輪場のそれでも、かなり急勾配に感じるほどです。

この角度のことを、競輪用語で「カント」といい、直線部分とコーナー部分にそれぞれ設定されています。

カントの設定は競輪場ごとに異なり、基本的な傾斜角度は直線部分で約2度~4度、コーナー部分では約25度~35度です。

以下では、なぜバンクにはカントが存在しているのか、カントの役割を解説していきます。

カントの役割

とくに初心者が疑問に思うのは、「なぜ競輪場のバンクには傾斜(角度)がついているの?」という点でしょう。

その理由は2つ。

1つ目は、選手が高速でスピードを落とさずに走行できるようにする目的。
2つ目は、落車などの事故をできるだけ防ぐよう工夫するためという理由があります。

ご存じのとおり、競輪はスピード競技です。レース中の最高速度は約時速70kmにも達するので、高速道路を走る自動車と同じくらいのスピードが出ます。

コーナーはカーブになっていますが、もし時速70km近いスピードでコーナーを曲がろうとすると大きな遠心力が働き、落車してしまいます。

通常の道路を走行する際、カーブ付近でスピードを減速するのはそのためです。

そこで、その遠心力に対して自転車をまっすぐに立てられるようにして、スピードをつけたままカーブを曲がれるようにしています。

前橋競輪場

カントの角度によって予想方法が異なる!

競輪場ごとに設定されているのが、カント(傾斜)です。

傾斜はコーナー(センター部路面傾斜)と直線(直線部路面傾斜)にあり、そのデータは競輪場のホームページなどでも公開されています。

このカントと競輪場の周長(1周の距離)が、予想に大きな影響を与えます。

ちなみに、レースがおこわれている競輪場の場所は43カ所。各競輪場の周長(1周の長さ)は3とおりです。

周長 競輪場
333m 前橋・松戸・伊東温泉・小田原・富山・奈良・防府
335m 前橋競輪場
400m 函館・青森・いわき平・弥彦・取手・西武園・京王閣・立川・川崎・静岡・名古屋・岐阜・大垣・豊橋・松阪・四日市・福井・向日町・和歌山・岸和田・玉野・広島・高松・小松島・松山・小倉・久留米・武雄・佐世保・別府・平塚
500m 宇都宮・大宮・高知・熊本・千葉

以下では、カントがきつい競輪場とゆるめの競輪場を紹介するとともに、脚質による対応の変化、カントとバンクの関係、予想する際のポイントについて解説していきます。

カントがきつい競輪場の場合

カントがきつい競輪場を競輪場の周長ごとにまとめていきます。

一般的に、カントがきつい競輪場は「捲り」や「追込み」を得意としている選手が有利になりやすいといわれています。

なぜ有利なのかというと、カントがきついと最初は上り坂のようになるので、かなりの脚力が必要です。
しかし、そこから直線に向かって大外から先頭を目がけて行く際は下り坂のようになるため、あまり脚力を使わなくてもそのスピードを維持することができます。

また、見なし直線距離(最後の直線)も長いところが多いこと、平地や海の近くにある競輪場は風の影響を受けやすく、追い風になることが多いため、必然的に「捲り」や「追込み」が決まりやすくなります。

ただし、前橋や小倉のようなドーム型競輪場は風の影響を受けにくいこと、小田原は「すりばちバンク」といわれるほどカントのきつい走路ですが、直線距離が36.1mと短いため、先行選手が有利になりやすいバンクとなります。

バンク名称

カントがゆるめの競輪場の場合

カントがゆるめの競輪場は次のとおりです。

これらの競輪場のバンクにおける特徴は、カントの傾斜が29度~31度という点です。

とくに松戸競輪場は、同じ周長でもセンター部の傾斜が33度~36度、直線部が4度台になっているバンクが多いなか、センター部が29°44'42"、直線部は3°1’2”とかなりゆるく設定されています。

これは西武園でも同じで、センター部は29度台、直線は2度台です。

対して、佐世保はセンター部が31度台、直線部は3度台となっています。

周長400mの競輪場でカントがゆるめになっている場合、見なし直線距離が標準~やや短めに設定されていることが多くなっています。

また、こうしたバンクで捲りや差しを仕掛けてもスピードに乗りにくいため、外もしくは内からの逆転を狙いにくいといえるでしょう。

そのため、先行逃げ切りを得意とする脚質の選手が有利になりやすいわけです。

ただし、これが周長500mになると話が変わってきます。

こうしたバンクはセンター部のカントが24度台~29度台、直線部は2度台~3度台です。

周長が長い分、見なし直線距離も60m~70m近くと長くなり、逃げを得意とする選手は脚力を消耗しやすくなることから、逆に差しなど最後の直線での逆転が多くなりやすいといわれます。

ただし、同じ500mバンクでも高知競輪場は見なし直線距離が52.0mしかないため、「逃げ」を得意とする選手が勝ちやすい傾向にあるようです。

500mバンクでのレースとなる場合は、競輪場の特性も考慮して予想に活かすようにしましょう。

カントを知って競輪場の特性をつかもう!

カントはスピードそのままでカーブを曲がったり、走ったりしやすいようにするためにつけられた傾斜で、競輪場ごとに特徴があります。

カントの角度は予想材料のひとつにはなりますが、レースの予想に活かすためには、カントだけでなくバンクの特徴(とくに見なし直線距離)を知ることが大切です。

そのためカントの角度だけでなく、直線距離のことも頭に入れながら予想するようにしましょう。

参考.1 : WINTICKET 競輪勉強シリーズ

参考.2 : WINTICKET 初心者向けコンテンツシリーズ

ウィンチケット編集部
WINTICKET(ウィンチケット)のコンテンツ編集チーム。初心者でも0からわかる記事を150本以上執筆した他、グレードレースを中心とした「WINTICKETニュース」、ABEMA 競輪・オートレースチャンネルでの番組の見どころをまとめたレポート記事の執筆を担当。

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