KEIRINグランプリ2021 清水裕友選手に帝王・山田裕仁氏がインタビュー!
KEIRINグランプリ2021に出場する清水裕友選手。帝王・山田裕仁氏がグランプリにかける思いや心境をインタビューしました!
山田:清水選手、4年連続でのグランプリ出場おめでとうございます!
清水:ありがとうございます!
山田:今年はG1優勝ではなく、賞金ランキング上位での出場となりました。率直な気持ちとしてはどうですか?
清水:今年もグランプリに出場できること自体はうれしいですが……やっぱりタイトルを獲って出たかったというのが正直なところですね。しかも、それを狙っていた競輪祭(GI)は、怪我で途中欠場となってしまって。
山田:うん、残念な結果になっちゃったよね。でも、賞金ランキングの位置的に、グランプリ出場自体は問題なさそうな雰囲気ではあったかな。
清水:ハイ。そこは大丈夫だろうと思っていたんですが、それでも競輪祭を自宅から観戦していて、なんとも言えない気持ちになりましたね。もっとも、落車せずに走れていたとしても、競輪祭はかなり厳しい戦いになったと思います。
山田:それは、デキがあまりよくなかったから?
清水:そうなんですよ、半信半疑というか。落車するまでにしても、自分で「ぜんぜんスピードが出てないな」と感じるくらいでしたからね。勝ち上がる権利がまだ残っていたので、2日目もできるだけ頑張ってみようと思って走りましたが、やっぱり厳しかったです。
山田:落車のダメージがあるのに、けっこう無理して走ったということね。
清水:擦過傷がけっこうひどかったんですよ。あとは、コケるの自体が久しぶりで、その後に無理して走った経験も、じつはほとんどないんですよね。落車はおそらく、3年ぶりくらいだと思います。
山田:そういえば清水くんって、落車してるイメージがほとんどないよね! 普段からしょっちゅうコケてる選手だと、その後も普通に乗っていたりして、アレはアレですごいなと思ったりもするけど……そうか、そんなに久々の落車だったんだ。
清水:でも、いまは怪我の状態もだいぶよくなってきています。身体を追い込むようなキツい練習はまだできませんが、グランプリまでには時間がありますからね。まずは怪我を治して、そこから焦らずにやっていくつもりですよ。
山田:私も、それが正解だと思う。そして、それをできるのが清水くんが“一流”である証明なんだよね。そこで焦って悪循環に陥ってしまう選手って、少なくないよ。
清水:ちょっとだけ自転車に乗った日もあったんですけど、このまま練習しても余計に崩れるだけだな……と感じたんですよね(苦笑)。
山田:では、グランプリについて詳しく聞かせていただく前に、まずは今年ここまでを軽く振り返ってもらいましょうか。いちばん印象的だったのは、まだ記憶にも新しい11月の防府記念かな。前人未踏の4連覇を達成したんだから、本当にすごいよね!
清水:ありがとうございます! もともと地元ですごく気合いが入るタイプではあるんですが、シリーズに入る前に、記念の4連覇は誰も達成していないという話を聞いて。ならば僕がここで達成してやろう……と、かなり燃えていたんですよ。
山田:GIIIとはいえ、特別競輪と変わらないくらいのメンバーになることもあるんだから、そりゃあ難しいよ。連覇ですら簡単ではないんだから、本当に意義がある。しかも、決勝戦は地元でのワンツースリーも決めてさ。
清水:いやあ、本当に……あんなにうれしかったことはないですよ。今年で一番どころか、「選手人生のなかでも一番」というくらいの喜びだったと思います。
山田:レースも素晴らしかったけど、ファンにそれ以上の感動を与えたのは、やっぱりあの優勝インタビューでしょう。私も観ていて、ちょっと胸が熱くなったからね。
清水:自分でも、まさか涙が出てくるとは思わなかったですよ(笑)。泣きたくはなかったんですが……よくわからなくなるくらいうれしくて。気がついたら泣いてました。
山田:競輪選手にとって地元記念って、やっぱり特別なものなんだよね。ちなみに今年は、松坂のウィナーズカップ(GII)でも優勝してるじゃないですか。それと比べても、防府記念での優勝のほうがうれしかったということね。
清水:こういう言い方はよくないかもしれませんが、比べものにならないですね。防府記念というレースは、僕にとって“別格”なんです。
山田:なるほどなあ。で、勢いに乗って「今度は競輪祭だ!」と思った矢先、久しぶりに落車して怪我を負ってしまったと。もうこの後はグランプリまで走らないよね?
清水:ハイ。ぶっつけ本番にはなりますが、しっかり練習さえできれば大丈夫ですね。特別な練習をする予定はありませんが、松浦さん(松浦悠士選手)とはどこかのタイミングで、一緒に練習したいとは思っていますが。
山田:いいところで松浦くんの名前を出してくれたね(笑)。ではここから、グランプリの話題に入っていきましょう。ファンが気になるのはやはり、中国ゴールデンコンビの「前後」が今回どうなるか。そのあたり、松浦くんとの相談はもう済んでるのかな?
清水:いや、今年はまだ何も決めてないんですよ。競輪祭も、何も話せないうちに僕が帰ってしまったので。まずは一緒に練習してみて、そこで相談して決めるような流れになるのではないかと。
山田:そもそも、松浦くんとの「前後」は、いつもどうやって決めているんだろう?
清水:そのときのデキで決めたりとか……GIなどのビッグレースだと「交互に」というパターンも多いですかね。
山田:確かに、今年ここまでの流れを振り返ってみても、「交互に」前を走っている印象があるよね。清水くんが勝ったウィナーズカップは松浦くんが前で、逆に松浦くんが優勝したダービー(GI・日本選手権競輪)は、清水くんが前だった。
清水:その次の高松宮記念杯競輪(GI)は、松浦さんがいい流れを作ってくれたのに、僕が失敗しちゃったんですよね。あれがちょっと尾を引いたというか……いろいろガタガタッときたというか(笑)。
山田:その後、ちょっと調子を落としていた感じだったもんね(笑)。まあ、そんな感じで考えていくと、グランプリは清水くんが「前」の順番という雰囲気を感じるんだけど……どうですか?
清水:確かに雰囲気からすると……なんとなく僕っぽいですよね(笑)。
山田:あとは、今年は松浦くんが最大の目標としていたダービーを獲ったから、今度は清水くんが「グランプリを獲りたいです」と言っても通るんじゃないか……みたいな部分も少しはあるね(笑)。
清水:まあ、僕が前を走るにせよ後ろを回るにせよ……グランプリは「自力で獲れる力」がなければ通用しないと思うんですよ。スピード化がどんどん進んで、僕もちょっと置いていかれそうになっているというか(笑)。なので、後ろを回る場合であっても「いつでも自分が前を回れる」くらいの状態と気持ちで、レースに臨みたいですね。
山田:では、展開面についても聞いておこうかな。前後が決まっていない状況だと答えづらい部分があるかもしれないけど……そこはまあ、清水くんが前を走っていると仮定して答えていただければと。
清水:わかりました。それに……僕もグランプリを頭の中で思い浮かべると、今年は自分が前を走っている映像が浮かぶんですよね(笑)。
山田:無意識にではあるけれども、今年も前でやりたいという気持ちのほうが強いのかもしれないね(笑)。脇本くん(脇本雄太選手)がいた昨年とは、レースの流れ自体がまったく違うものになりそうだけど……清水くんはどう戦うイメージ?
清水:少なくとも僕は、昨年よりもやりやすいですね。というのも、昨年は「脇本さんが仕掛けるの待ち」みたいなレースになったじゃないですか。展開としてはある意味、単調だったというか。アレって正直なところ、かなりやりづらかったんですよね。
山田:脇本くんの先行を意識するあまり、みんな「動きたくとも動けない」みたいなところがあったよね。
清水:でも、今年の出場メンバーであれば、そんな流れにはなりませんよね。僕がいつもの走りをすれば、それで対応できる。展開がシンプルすぎて誰にでも読めるレースよりも、こういう読みづらいレースのほうが、僕はやりやすいです。
山田:じゃあ、かなりの脅威となりそうな関東ラインにも、十分に対応できるということだね。競輪祭の優勝インタビューで「関東から優勝者を出す」と言い切った吉田くん(吉田拓矢選手)が、積極的に主導権を奪いにきそうだけど。
清水:それでも、昨年や一昨年よりも選択肢は多いかなと。自分が前ならばこう走ろうかな……というイメージが浮かびますから。でもまあ、フタを開けてみたら僕が後ろを走っているかもしれませんけど。
山田:じゃあ、松浦くんの後ろを走る場合だったら、どんなイメージ?
清水:そのときは、松浦さんに黙ってついていきます(笑)。
山田:つまり、レースの組み立てについては「前」に任せてる感じなんだ?
清水:僕と松浦さんの場合はそうですね。松浦さんは作戦を立てるのが得意なので、僕が後ろのときはもう、とにかくついていくだけですよ。
山田:なるほどねえ。お互いを完全に信頼して走ってるということだ。
清水:ハイ、そこは僕たちの大きな“強み”だと思っています。
山田:では最後の質問ですが……前でも後ろでも、狙うはもちろん優勝だよね?
清水:優勝しかないですね! グランプリは、優勝以外だったら2着も9着も一緒ですよ。だから、僕が前でも後ろでも、目指すのは1着だけです。
山田:車券を買う側からすると、清水くんと松浦くんのコンビって「後ろを買えば当たる」が常識となりつつあると思うんですよ。でも、グランプリだけは違う。お客さんに「前を走る選手からも買ったほうがいいですよ!」と言い切れるってことね。
清水:それはもちろん。松浦さんもそうだと思うんですけど、「後ろを振り切って優勝したい」という気持ちは、常にあるんですよ。それに、前の選手が勝てるレースをすれば、おのずと後ろにも勝つチャンスがあるじゃないですか。
山田:それは確かにそうだ。後ろを回る選手は、「前が勝つレースをしてくれれば、それを抜けば優勝でしょ」って思って走ってるもんね。
清水:ハイ。ですからぜひ、前を走るほうからの車券も買っていただければと(笑)。
山田:では最後に、意気込みとファンへのメッセージをお願いしましょう!
清水:今年は、自分で納得できるような内容のレースが少なかったんですよ。だからなおさら、今年最後のグランプリでは、納得のいく走りをしたいという気持ちが強いです。自分がいま持っている力をぜんぶ出して、優勝できるように頑張りますので、応援よろしくお願いします!
「KEIRIN GRAND PRIX 2021」公式特設サイトにて出場選手インタビュー公開中
- ウィンチケット編集部
- WINTICKET(ウィンチケット)のコンテンツ編集チーム。初心者でも0からわかる記事を150本以上執筆した他、グレードレースを中心とした「WINTICKETニュース」、ABEMA 競輪・オートレースチャンネルでの番組の見どころをまとめたレポート記事の執筆を担当。
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