WINTICKET EXデータ解説「飛びつき」編
「飛びつく」というと「子供が母親に飛びつく」とか「儲け話に飛びつく」などを思い浮かべるかもしれませんが、競輪での「飛びつき」は「別ラインの番手を奪いにいくこと」を意味します。今回はそんな「飛びつき」について説明します。
「飛びつき」が発生しやすい場面
例えばこのような3分戦の並びで400バンクを周回していたとします。
⑦の選手が「かまし」先行ないし捲りタイプで、かつ競争得点や勝率から⑧との力差があり、脚質的にも⑦は「ちぎり」やすく、⑧が「ちぎられ」やすいというとき。⑦はいわゆる“裸単騎”となって、1車で前に出て行くことになる可能性が高いでしょう。
⑦が1車で来たところを、前で構えていた①が番手に「飛びつき」、このような並びになったとっき、①の「飛びつき」が成功したことになります。
このまま直線まで行けば、脚を使っていない①は番手絶好となり、①-⑦ないし、ズブズブの①-②まで見えてきます。このような形になる可能性は前述した⑦の脚質、⑦と⑧の関係性に加えて、①の脚質によるでしょう。
「飛びつき」やすい選手の特徴
例えば①が以下のような選手だった場合。
脚質は「両」だけど、「差」「マ」の回数からして、どちらかというと番手で追い込むタイプの選手。しかし「逃」「捲」の回数もそこそこあることからして、タテに踏める脚もあり、後ろからくる⑦のスピードに合わせて踏み出していけるため、遅れることなく番手に「飛びつき」できる可能性が高そうだと判断できます。
もっとわかりやすいのは、以下のような7車立ての3分戦において、①が以下のような選手だった場合。
そもそも先行タイプじゃないのにラインの頭にいる上、コメントで「前々」「自在に」などといっていて、踏み遅れのないようにギアを低めに設定していたら、これはもう「飛びつき」という戦術でいきますよと宣言しているようなものです。
その上、前述したように⑤の選手が「つっぱり」先行型ではなく、「かまし」先行ないし捲りタイプで、かつ競争得点や勝率から⑥との力差があり、脚質的にも⑤は「ちぎり」やすく、⑥が「ちぎられ」やすい状況。さらに⑤と⑥が同県同地区じゃなかったりすれば、ますます千切れる可能性が高くなります。①としてはそれを見越しての「飛びつき」を考えているのは間違いないでしょう。こうなると7車の中で⑤の力が抜けていたとしても、⑤-⑥となる可能性は低くなり、最終バックで以下のような並びになることが予想され....
結果として⑤①②、差し目の①⑤②。③が捲り脚があれば①⑤③。①と⑤の力関係によってはズブズブの①②⑤、③が届いての①②③になることが見えてきます。
「飛びつき」が決まりやすいかの見分け方
「飛びつき」が決まるかどうかは先行選手が強力な別線の「ちぎれ」「ちぎられ」具合(先行と番手の力差と同県同地区などの結束力)と、飛びつきそうな選手の番手力、ギア倍数、コメントなどをチェックする必要があります。
ここで問題となるのは①がちゃんと後ろからくる⑤に飛びつけるのかどうかということ。脚質「両」の選手ならばタテ脚もあるので大丈夫でしょうし、「追」でも前述の選手のように「捲」が1回決まっていたり、「B」を獲ったことがあったりすると、タテ脚もありそうだなぁとなりますが、極端にいえば以下のような選手の場合は注意です。
ギア倍数を下げても踏み遅れる可能性が高いとしか思えません。それは誰よりも選手自身がわかっているはずなので、「飛びつき」よりも「競り」に来る可能性が高いです。
参考:WINTICKET EXデータ徹底解説シリーズ
- ウィンチケット編集部
- WINTICKET(ウィンチケット)のコンテンツ編集チーム。初心者でも0からわかる記事を150本以上執筆した他、グレードレースを中心とした「WINTICKETニュース」、ABEMA 競輪・オートレースチャンネルでの番組の見どころをまとめたレポート記事の執筆を担当。
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