スピード競技である競輪の事故は命の危険性も!過去の事件も含めて解説
時速70kmを超えるスピードで1着を争う競輪。そんな競輪ですが、熱いレースになればなるほど、危険な事故が起きやすいのが現実です。
競輪選手たちは、事故の危険性を十分に理解して、落車による怪我を避けようとしますが、グランプリなどの大きなレースでは競輪選手としての人生がかかっているため、全員が必死に走る反面、事故が起きてしまう確率が上がってしまいます。
本記事では、競輪の事故についてくわしく解説します。過去に起きた悲惨な事故も含めて紹介しますので、こんな事故は二度と起きないようにと願いながら、競輪ファンとして頭の隅に入れておきましょう。
競輪の事故とは
競輪の事故とは、レース中にほかの選手と交錯、衝突、もしくは進路が狭まったなどの理由で自転車が転倒してしまうことを指します。
競輪用語では、転倒して自転車から選手が落ちてしまうことを「落車」といい、競輪だけでなくオートレースでも使用される用語です。
競輪は平均時速70kmで走る競技なので、一瞬のミスが大事故につながってしまうこともあります。もし先頭の2名が事故を起こしてしまうと、後続の選手を巻き込む事故にもつながり、大きな事故を誘発するため、決して甘く考えてはいけません。
競輪は事故のなかで一番多いのが、「落車」によるものです。以下で落車について詳しく解説していきます。
競輪の事故で一番多いのは「落車」
競輪でもっとも多く発生し、一番危険なのは「落車」による事故です。
競輪の事故では、転倒時に自転車のハンドルが自分の身体にぶつかって、鎖骨骨折、あばら骨骨折をしてしまう選手が多くいます。
また、落車して打ちどころが悪いと最悪の場合、命を落としてしまう場合もあるため、安易に考えてはいけない事故のひとつが落車です。
選手は骨折などをすれば、しばらくの間レースに出走できないため、賞金などを一切稼ぐことができず、選手が生活する上でも困ってしまうでしょう。
そのため、競輪選手はレースで事故を起こさないように細心の注意を払っています。
競輪のベテラン選手のなかには、「選手は落車して怪我してから一人前になる!」という言葉をいう方もいますが、命を落とす危険がある落車事故は選手生命にも大きく関係してくるため、落車には気をつけなければいけません。
天候によって事故の頻度が変わる
競輪の事故は天候の状況によっても頻度が大きく変わってきます。
競輪は基本的に屋外にある競輪場でレースをおこなうため、雨や雪が降ってもレースは開催され、よほど強くならない限り中止になりません。
その場合は路面が濡れていても、時速70kmほどのスピードで競走をするため、晴れているときより事故が起きる可能性が高くなります。
雨の場合は、滑りやすくなるだけでなく、視界不良、雨と風の影響などが関係してくるので、バンク内の環境も異なり、事故を誘発する競走が多くなるでしょう。
そして、雨のレースになると選手たちは、前の選手が落車した場合に自分が巻き込まれないことを計算して走行するため、普段とは周回の様子も変わることがあります。
もし転倒事故が起きた場合に、その隙間を狙って格下の選手が差込を考えているかもしれませんので、最後まで目が離せません。
そのため雨の日の競輪では、選手の動きにもチェックするのがおすすめです。
落車しても、完走すれば賞金が入る
競輪で落車した場合はその後、走れるのか?走れないのか?で選手が獲得できる賞金が大きく変動します。
もし落車したときに怪我をして、動けなくなった場合は落車棄権といって、その時点でレースを完走したことにはなりません。落車棄権の場合は、レースを完走できなかったという判断から、着順は最下位になるだけでなく貰える賞金も20%減額されるのです。
しかし、落車しても選手がまだ走れると判断した場合は、再度自転車に乗り競走を再開できます。
また、ゴールの手前30mでは、落車して自転車が故障しても自転車を押して歩いてゴールできれば棄権にはならないというルールがあります。
過去にも自転車を押しながらゴールした選手は数多く存在し、選手たちはボロボロになった自転車を押しながら、身体の痛みに耐えてゴールを目指します。
その理由は、少しでも多くの賞金を稼ぐためです。
選手たちは給料などではなく、賞金で自分の生活を支えています。まだ走れるのに棄権をすると賞金が減額されてしまうので、選手たちは最後まで諦めずにゴールを目指す高い精神力を持っているのでしょう。
過去のレースで起きた競輪の落車事故を紹介
次に紹介するのは、過去の競輪で起きた落車事故です。
競輪の落車事故は、普段のレースでも多くありますが、落車によって命を落としてしまった悲惨な事故も過去レースも存在します。
2008年一宮競輪場で起きた悲惨な落車事故
2008年9月11日、一宮競輪場でおこなわれた第51回オールスター初日の第7レースで事故が発生してしまいました。
第3コーナー付近で、ほかの選手とぶつかった内田慶選手はその場で転倒し落車します。
本人はうつ伏せのまま吐血して意識不明の状態になり、現場に待機している医師が早急に処置をしましたが、そのまま心肺停止で帰らぬ人になってしまいました。
死亡の理由は、外傷性くも膜下出血でした。おそらく落車の際に強く頭を強打してしまったことが原因です。
このように一瞬の出来事で命を落としてしまう危険のある競輪。今後もこのような事故は絶対に起こらないことを願いたいですね。
2012年小田原競輪場で発生した悲惨な落車事故
2012年7月7日、小田原競輪場第9レースでも悲惨な事故は起きてしまいました。
A級特予選に出走した坂本照雄選手は、前者で落車した選手を避けるために、コースから大きく外れ、写真判定用のミラーボックスに衝突してしまいました。
ミラーボックスには緩衝用のマットが備わっていましたが、強い衝撃で意識不明になり、早急に医師の処置がおこなわれ、緊急搬送されましたが命を落としてしまいました。
死因は、外傷性心肺不全です。
前の選手の転倒を避けようとした選手が命を落としてしまうのは、とても残酷な話でしょう。しかし、競輪選手は事故が起きたときの対応もしっかり学んでいるので、とっさの判断で避けるのが最善な判断です。
このように、競輪では落車事故が原因で命を落としてしまう選手が存在するほど危険な競技です。ファンが熱狂する熱いレースをしている反面、選手は命がけで走っているのがわかります。
事故の危険性をともない白熱したレースを見せる競輪選手
競輪の事故は非常に危険で、最悪の場合死亡することがあります。競輪は事故が非常に多い競技として有名ですが、ひとつの判断を誤ると取り返しがつかない事故が起きてしまいます。
競輪選手は一位を獲得するために、出走している選手の全員が熱くなればなるほど、危険はすぐ近くにあるということです。
もし、競輪場で選手が走る姿を見る機会がありましたら、ぜひ命がけで走っている選手に間近で声援を送ってみてはいかがでしょうか。
参考.1 : WINTICKET 競輪勉強シリーズ
参考.2 : WINTICKET 初心者向けコンテンツシリーズ
- ウィンチケット編集部
- WINTICKET(ウィンチケット)のコンテンツ編集チーム。初心者でも0からわかる記事を150本以上執筆した他、グレードレースを中心とした「WINTICKETニュース」、ABEMA 競輪・オートレースチャンネルでの番組の見どころをまとめたレポート記事の執筆を担当。
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