ヤンググランプリ2021出場 伊藤颯馬選手インタビュー

ヤンググランプリ2021に出場する伊藤颯馬選手。出場にかける思いや意気込みを伺いました。


── ヤンググランプリ出場、おめでとうございます！ ではまず、現在の心境からお聞かせください。

ありがとうございます！ 出場を狙っていたので、素直にうれしいです。

── 伊藤選手は今年、ヤンググランプリ出場を目標に掲げられていたと聞きました。有言実行で出場するなんて、カッコイイですね！

なんとかギリギリ選考に引っかかって、出場までこぎ着けました（笑）。今年が最後のチャンスだったので、出場できるように頑張った甲斐がありましたね。昨年はまだA級だったので考えていなかったんですが、今年はS級からのスタートだったので、最初から視野に入れていたんです。

── 今年ここまで、S級で実際に走られてみての感想はいかがですか？

とにかく、9車立てのレースが難しいですね。それもあって、GIIIなどではなかなかいい結果が出せていません。本当は9車のレースをもっと走って経験を積みたいんですが、あっせんが少なくて。そこがちょっと悔しいところですね。

── 伊藤選手が目標とされてきたヤンググランプリも、9車立てですからね。師匠の仲松勝太選手などから、激励やアドバイスなどはあったのでしょうか？

師匠は「とりあえず頑張ってこい！」みたいな感じでしたね。

── 沖縄の選手ということで、冬場は沖縄を拠点とされている佐藤慎太郎選手とも接点がありそうですよね。

ハイ、一緒に練習させてもらったりもしています。ヤンググランプリについては激励というか……寄付をしようと誘われました。

── え～っと……まったく話が見えてこないんですが（笑）。どういうことなのか、もう少し詳しく教えていただけますか？

いや、別に怪しい話ではないです（笑）。「普段からお世話になっているバンクに恩返しをしよう」と誘われたんですよ。グランプリ出場が決まったら、慎太郎さんは誘導用のバイクを。ヤンググランプリ出場が決まったら、僕は空気を入れるコンプレッサーを寄付するという内容です。

── なるほど！ それは確かに、佐藤慎太郎選手なりの激励だったのかもしれないですね。そして実際に、どちらも出場を決められたと。

そういうことです。だから、ちゃんと寄付しますよ！

── そういうことならば、ぜひヤンググランプリで優勝して、その賞金でいいコンプレッサーを寄付しちゃいましょう（笑）。さて、S級でのレースの話に戻りますが……今年は松坂でのウィナーズカップ（GII）や岐阜での共同通信社杯（GII）といった、ビッグレースにも出場されています。振り返られて、いかがでしたか？

いやもう、ぜんぜんダメでしたね。レースに参加できていなかった気がします。相手が強すぎて、雰囲気に飲まれてしまった面もありました。

── 納得できる走りがまったくできなかったと。

2着や3着のレースはありましたが、それは7車のレースなんですよ。つまり、9車のレースではまだ勝負できていない。もっと経験や練習を積んで、早くビッグレースで1着が取りたいですね。

── とはいえ、8月の別府FIでは完全優勝もされているじゃないですか。どんどん実力をつけて強くなっていると、ファンは感じていると思いますよ。

いや、あれはラッキーだったんですよ。最後方にいた単騎の取鳥さん（取鳥雄吾選手）が上がってきたところで、その番手にうまくハマって、最後にちょっと差しただけなので。完全優勝ができて気持ちよかったし、1着の賞金もうれしかったですが、展開が向いたというのが実際のところですね。

── 伊藤選手の話しぶりからは、ご自身にはまだまだ足りないものがあるという想いが伝わってきます。では、現状における課題は何だとお考えですか？

脚力はもちろん、走り方も変えていかなきゃダメでしょうね。現在は、ウエイトトレーニングや体重を意図的に増やすことで、パワーアップを図っています。もっと筋力をつけないと、トップクラスとは戦えませんから。

── 筋力強化の取り組みについて、もう少し具体的に教えていただけますか？

筋肉がついて体重が増えることで、楽にトップスピードまで乗せられるようになった気がするんですよ。体重については前から増やしたいと思っていたので……プロテインをメチャクチャ飲んで。お腹が痛くなるのを我慢しながら、いまでも結構な量を摂っていますね。ここ最近だけでも、体重が5～6キロは増えています。

── ちょっとした強化どころではない、もはや「肉体改造」というべきレベルですね！ そういえば佐藤慎太郎選手も、さらに筋肉をつけるために馬肉をブロックで買って、ムシャムシャ食べていると聞いたことがあります。

さすがに、慎太郎さんみたいな身体になりたいわけではありませんけどね（笑）。でも、パワーアップすれば「道中はもっと楽に走って最後に頑張る」ようなレースができると思うので、楽しみです。

── ライバルに負けてはいられませんからね！ そういえば先日、同期の坂井洋選手が四日市記念で優勝して、GIII初優勝を決められています。伊藤選手にとっても、いい刺激になったのではないでしょうか？

そうですね。先を越されて悔しい気持ちもありましたが、坂井さんとは普段から仲がいいので、うれしかったです。そういえば坂井さん、僕がLINEでお祝いのメッセージを送ったら、「これが坂井の実力！」とか「坂井の努力は無駄にならない」みたいな変なスタンプを、いっぱい返してきたんですよ（笑）。

── 伊藤選手としては、うれしさ半分、悔しさ半分といったところでしょうか。

一歩先に行かれてしまいましたが、このまま置いていかれたくはないですからね。挽回するためにも、ヤンググランプリで頑張りたいです！

── では、ヤンググランプリまでの期間、どのような調整をされる予定なのかを教えてください。

何か特別な練習をするつもりはありません。ヤンググランプリの前にちょっとだけ休養を挟むかもしれませんが、それ以外はいつも通りでいきます。張り切って練習をやり過ぎて調子を落とすことがあるので、そうならないように気をつけたいですね。

── 休むのも練習のうちだとわかっているのに、つい頑張りすぎてしまう。ジレンマというか……向上心の強い選手にとっては悩ましいところですよね。

どういったルーティンでレースに向かうのがいいのか、まだ自分でもわかりかねている面があるんですよね。ただ、適度に休んでから走ったほうが調子がいいぞ……というのは、ようやくわかってきました。

── では次に、ヤンググランプリに出場される選手についてお聞きします。伊藤選手がライバル視されている選手や、絶対に負けたくない選手はいらっしゃいますか？

とくに意識している選手はいないですね。そして僕はおそらく、誰からもマークされていないと思います（笑）。でも一発を狙うなら、そのほうがありがたいというか。ノーマークだからこそのワンチャンスに賭けたいですね！

── 出場する全員が自力選手という難しいメンバーとなりますが、そこで「一発」を狙っていく具体的なプランというのは、もう考えているのでしょうか？

いや、現時点ではまったく考えていません。単騎でやるかどうかについても、まだ決めていないんですよ。先日、一緒のシリーズに出たときに坂井さんから「後ろについてよ」と言ってもらったんですが、正直なところまだ迷っています。

── 坂井選手とラインを組まれる可能性があるんですね！ とはいえ、頑張ってつかみ取ったラストチャンスです。当然「自力で勝負したい」という気持ちもありますよね？

ハイ、それもあって迷ってるんですよね（笑）。

── では、最終的にどういったカタチを選択されるのかを楽しみにしておきます。伊藤選手はヤンググランプリで、ファンにどんな走りを見せたいですか？

僕の持ち味は「ダッシュ」なので、そこを見てもらいたいですね。ヤンググランプリに出場する9人のなかでも、ダッシュはソコソコ速いほうだと思います！ 脚をためてから一発ダッシュを入れて、そのまま押し切るようなレースができれば理想的ですね。

── では最後に、ヤンググランプリに向けての意気込みと、ファンへのメッセージをお願いします。

出場するからにはワンチャンを狙って、優勝できるように全力で頑張ります。応援よろしくお願いします！

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