実力No.1決定戦!第75回『日本選手権競輪』(競輪ダービー)in京王閣競輪場
数あるGⅠの中でも最高峰レース! 競輪実力No.1決定戦!!
第75回『日本選手権競輪』(競輪ダービー)in京王閣競輪場
優勝者には内閣総理大臣杯が授与されることからして競輪界で最も格式の高いレースであり、競馬界最高の競走である"ダービー"になぞらえて「競輪ダービー」の愛称で親しまれている『日本選手権競輪』がいよいよ開催される。
今年の優勝賞金は6,956万円(副賞込み)と『KEIRINグランプリ(GP)』に次ぐ金額ながら、選手の多くは「GP以上に欲しいタイトル」であると言う。年間6つあるGⅠの中でも最も権威のある開催だ。
第1回は『全国争覇競輪』と題して、1949年(昭和24年)に大阪住之江競輪場にて行われた。当時は唯一の特別競輪として、春秋の2回、東日本と西日本の競輪場で交互開催。1964年(昭和39年)の第17回大会から現在の名称となり、2016年(平成28年)からはゴールデンウィーク中のビッグレースとして、ファンに愛されている。
他のGⅠレースが4日から5日開催に短縮された歴史を持つ中、唯一6日開催を続けている『日本選手権競輪』。今年は5月4日(火・祝)から9日(日)までの6日間、京王閣競輪場で開催される。
日本選手権競輪は2年ぶりの開催
昨年、静岡競輪場で開催が予定されていた第74回大会は新型コロナウイルス感染拡大防止のために中止されたこともあって、待ちわびたファンも多いだろう。
伝統の「競輪ダービー」、2年ぶりの開幕。
選ばれるのは1年間の賞金獲得額上位者!
すなわち「日本一の競輪選手」を決める戦い
選考期間は前年2月から当年1月の12カ月間。選考基準は「(開催時に)S級S班在籍者」「(開催時にS級1班在籍で)過去3回以上優勝した者」「選考期間中4カ月以上ナショナルAチームに所属」、そして「賞金獲得上位者」である。
つまり"競輪界トップ9"と"年に3回も優勝している強豪"、"ケイリン日本代表"、そして"多額の賞金を稼いでいる強者ども"が一堂に会し、6日間もかけて1位を競うという開催であり、その優勝者は誰が何と言おうと「今、最も強い競輪選手」であろう。
惜しむらくは脇本雄太選手(SS・福井・94期)、新田祐大選手(SS・福島・90期)、深谷知広選手(SS・静岡・96期)のナショナルチーム組が不在ということだ。それでも"競輪”が強くて魅せる選手が勢揃いしている。「競輪日本一」の称号は揺るがないだろう。
2021年日本選手権競輪の優勝候補は?
最有力候補を挙げるのは難しいところだが、今年のGⅢ 9場所オール優参で、1月の岸和田記念、2月の高松記念、3月の玉野記念(in広島)、4月の武雄記念と4つ勝っている松浦悠士選手(SS・広島・98期)を優勝候補筆頭としたい。
『ウィナーズカップ』で優勝し、武雄記念の決勝でもコンビを組んだのが清水裕友選手(SS・山口・105期)だ。「ゴールデンコンビ」と呼ばれて久しいこの2人が組んだラインは、今の競輪界で最強と言っても過言ではない。今回も2人で優参すれば、どちらが前をやろうとも1番人気に推されるだろう。
対抗は今年最初のGⅠ『全日本選抜競輪』を獲ってすでにGP出場権を獲得している郡司浩平選手(SS・神奈川・99期)だ。同地区には岩本俊介選手(S1・千葉・94期)に根田空史選手(S1・千葉・94期)、それに4月の西武園記念で圧倒的な先行力でもってGⅢ初Vを達成した野口裕史選手(S1・千葉・111期)といったトップレベルの機動型が揃っている。後ろでグランプリジャージを着る和田健太郎選手(SS・千葉・87期)が捌いてくれれば、かなり強力な南関ラインが形成される。
これらに負けていられないのは地元の関東勢。エースは間違いなく平原康多選手(SS・埼玉・87期)だ。昨年、茨城から移籍して京王閣をホームにしている鈴木竜士選手(S1・東京・107期)に吉田拓矢選手(S1・茨城・107期)、吉澤純平選手(S1・茨城・101期)、坂井洋選手(S1・栃木・115期)、そして同県の森田優弥選手(S1・埼玉・113期)と、こちらも機動型が揃いも揃っている。諸橋愛選手(S1・新潟・79期)が後ろでガードしてくれれば、2017年(平成29年)の『全日本選抜競輪』以来、4年ぶりの平原選手GⅠタイトル奪取も見えてくる。差し、追い込み有利の京王閣なら、諸橋選手の突き抜けでGⅠ初Vも十分あり得る話だ。
悲願のGⅠタイトルといえば、古性優作選手(S1・大阪・100期)。近況の調子の良さは誰もが認めるところで、出脚の切れ味は選手人生ピークレベルである。前を最強ルーキーの寺崎浩平選手(S2・福井・117期)、後ろをこれまた切れ味鋭い稲川翔選手(S1・大阪・90期)となったら、強豪ラインが争う間隙を縫って抜け出し、近畿勢が優勝をかっさらう場面が見られるかもしれない。
他にタテ脚の強力な3人のトリプルアタックが見られそうなのは四国勢。松本貴治選手(S1・愛媛・111期)と太田竜馬選手(S1・徳島)を前に原田研太朗選手(S1・徳島・98期)が構えれば、「GⅠに最も近い選手」という称号が「GⅠウィナー」に変わるときが訪れる可能性は高い。
九州勢も山崎賢人選手(S1・長崎・111期)と再ブレーク中の北都留翼選手(S1・福岡・90期)に山田英明選手(S1・佐賀・89期)が付ければ、連続アタックで抜け出せるラインとなる。
選手層の厚みを出していきたい中部勢では、浅井康太選手(S1・三重・90期)も注目。どこからでもタイミング良く踏み出して一気に前を切れる孤軍奮闘型の浅井選手なら単騎でも問題はないだろう。
機動型が旺盛の現代競輪界において、前から後ろまで万遍なく強い選手が揃っているのは北日本勢であろう。2年連続で『ウィナーズカップ』優出の高橋晋也選手(S1・福島・115期)。次のパリ五輪を目指す新山響平選手(S1・青森・107期)。40歳手前にしてガンガンかます渡邉一成選手(S1・福島・88期)にグランドスラムの飽くなき挑戦・山崎芳仁選手(S1・福島・88期)。鋭い差し脚を持つS級S班の守澤太志選手(SS・秋田・96期)。そして守澤選手の後ろからでも追い込む強さを持つ、真打ち・佐藤慎太郎選手(SS・福島・78期)と勢揃いしている。彼らが一枚岩となったら他のラインが付け入る隙はない。
400バンクの京王閣は裏を流れる多摩川の湿気で重く、1コーナーに吹き付ける向かい風で先行は脚を使ってしまうため、差しと追い込みが有利である。競輪の醍醐味であるチーム戦を存分に味わえる場だ。各地区がどのような戦法で挑んでくるのか、楽しみで仕方ない。
ガールズ競輪コレクション 京王閣ステージも必見
ちなみに3日目の第12Rに『ガールズケイリンコレクション 京王閣ステージ』という単発レースが開催される。
出場するのは女王・児玉碧衣選手(福岡・108期)。3月の『ガールズケイリンコレクション 松阪ステージ』で児玉選手に捲られた雪辱に燃える佐藤水菜選手(神奈川・114期)。
昨年の『ガールズフレッシュクイーン』で佐藤選手を下した久米詩選手(静岡・116期)。1月のトライアルレース決勝で児玉選手に食らいついて2着に入った細田愛未選手(埼玉・108期)。
大けがを乗り越えて誰もが認める強力な機動型となった太田美穂選手(三重・112期)。今年の連対率80%超という抜群の安定感を持つベテラン荒牧聖未選手(栃木・102期)。
そしてビッグレース11回出場ながら未だに優勝を果たしていない無冠の女王・尾崎睦選手(神奈川・108期)の7名だ。
真っ向勝負を挑む太田選手と佐藤選手が出て行ったところに児玉選手の貫禄捲りが届くがどうかというのがポイントになるだろう。しかし走るバンクは差しと追い込み有利の京王閣。これら3人に付いていく他の4人にも優勝するチャンスは十分にある。
若手とベテランが遮二無二もがき合う戦い。こちらもまた、楽しみで仕方ないレースである。
- ウィンチケット編集部
- WINTICKET(ウィンチケット)のコンテンツ編集チーム。初心者でも0からわかる記事を150本以上執筆した他、グレードレースを中心とした「WINTICKETニュース」、ABEMA 競輪・オートレースチャンネルでの番組の見どころをまとめたレポート記事の執筆を担当。
記事をシェアしよう