競輪で白熱したレースが見られるのは誘導員のおかげ!役割や手当なども紹介
バンクを駆けるレーサーの音。会場を沸かせる大きな歓声。白熱する試合が胸を打つ競輪は、多くのファンに愛されている公共競技です。
そんな競輪には、レースに選手以外の人が走行しているのをご存じですか?
彼らは「先導誘導員」といいレースの先頭を走っており、競輪にとって欠かせない存在です。しかし、先導誘導員がどういう役目を担っているのか、どうすればなれるのかなどわからないことも多いでしょう。
そこで今回は、先導誘導員について紹介します。なんのために必要なのか、どうすれば先導誘導員になれるのかもあわせて見ていきましょう。競輪ファンはもちろん、先導誘導員を目指している人も参考にしてください。
レースの先頭を走る先導誘導員とは?
先導誘導員とは、名前のとおり周回中に選手の先頭を走り誘導する選手のことを先導誘導員と呼びます。
レースに必ず一人存在し、選手をサポートするほかタイム管理などをおこないます。
以下では、先導誘導員の役目や見分け方を紹介していきましょう。
先導誘導員は、何のために存在するの?
競輪の速度は、普通の選手でも時速60km出せ、一流にもなると70km出るといわれています。当然スピードが出ると空気抵抗を受け、風圧が選手に重くのしかかります。そのため、先頭を走る選手が不利になってしまうでしょう。
そこで、先頭の選手が不利にならないように風よけをしてくれるのが、先導誘導員です。
先導誘導員が先頭を走ってくれることによって風の抵抗を減らし、後に続く選手が走りやすくなります。
また時間の管理もしており、周回ごとにペースを配分しています。
このような役割を担った先導誘導員がいることによって選手はレースに集中できます。
先導誘導員を追い抜くとルール違反になってしまう
競輪には「先頭固定競走」が取り入れられており、先導誘導員がレースの中盤まで誘導することが決まっています。
先導誘導員は、選手のスタート位置より25m手前からスタート。さらに先導誘導員の追い抜きは距離が決まっているため、それより手前で追い抜くと失格になります。
追い抜き失格ゾーンはバンクの長さで異なります。
2019年5月31日を初日とするレースからは、400m走路(5周2,000m)の場合は打鐘周回から、333m・335m走路(6周2,000m)の場合は第4周回のバック線から、500m走路(4周2,000m)の場合は打鐘周回の打線から追い抜きが可能になりました。
基準改正前より少し追い抜き失格ゾーンが拡大しています。さらに先導誘導員への妨害行為などによる失格基準も厳しく改正され、以前より先導誘導員の安全を重視している内容に変わりました。
失格ゾーン内で暴走ともとれるようなスパートのかけかたも禁止になりました。これらを違反すると失格です。
失格は違反行為のなかでも最も重い処分です。着位が剥奪されるため、レースの結果にも大きく影響していきます。
そして、追い抜き失格エリアを出ると先導誘導員は内側に入り速やかに退避。ここで役目が終了します。その後は一気に選手の攻防戦が始まります。
ラストスパートで競輪の魅力ともいえる選手同士の最後の戦いとなります。
先導誘導員は簡単に見分けられる!
競輪選手は派手なユニフォームを着ることも多く、先導誘導員が見つけにくいのではないかと思いがちです。
しかし、先導誘導員はレースやバンク、選手にかかわらずみんな決まった色のユニフォームを着用しているため、競輪初心者でも簡単に見分けられます。
先導誘導員は、紺色のユニフォームにオレンジのラインが入ったものを着用。明るい色のユニフォームが多い競輪選手ですが、反対に先導誘導員はシックな色のものを着ています。
また、先導誘導員の役目は風よけだけではありません。先導誘導員のヘルメットにトランシーバーが内蔵されており、周回ごとのタイムを伝えなければなりません。しかもバンクの周回やレースの区分から出された各周回の基準タイムのプラスマイナス1秒以内で走らなければならないのです。
そのため、先導誘導員にも選手同様にスピードや脚力が求められます。
先導誘導員の資格を取得する選手もいる
ただ速く走れるからといって先導誘導員になれるわけではありません。先導誘導員になるためには、専門の資格が必要です。
先導誘導員になれる条件として、
- 競輪選手であること
- 試験で2,000mを2分55秒以内でゴールすること
をクリアする必要があります。
この2分55秒のタイムは、現役選手であればとくに難しくなくクリアできるタイムといわれています。
そのため、ほとんどの競輪選手は受験すれば合格できるでしょう。そのため、競輪選手のなかには選手としてだけでなく、先導誘導員として稼いでいる選手も少なくありません。
先導誘導員がもらえる手当
先導誘導員にも、レースに応じた手当が用意されています。
そのため賞金獲得金が少ない選手が誘導員を務めるケースが多いです。
さらにホームバンクのレースに出走することが多いため、競技場に常駐している先導誘導員が少ないほど出番が多いでしょう。
また、レースの階級が上がっていくほど手当金も上がって行くことがほとんどです。F2のレースだと、4,000円から1万円の手当ですが、F1になると1万円から3万円ほど、G3でも1万円ほどから6万円ほどになります。また年に一度のGPだと20万円にものぼります。
先導するレースのランクが上がっていけば、先導誘導員としてたくさん稼ぐことも可能です。活躍次第では競輪選手同様夢がある職種でしょう。
競輪のレースには先導誘導員が必要不可欠!
競輪の世界では、どうしても選手や結果が注目されがちです。しかし、そんな大盛り上がりのレースを支えているのが先導誘導員の存在。彼らの存在があるからこそ、選手が風の抵抗を最小限に抑えレースができます。
そんな先導誘導員は、試験を受けて合格すれば選手でもなることができます。
なかには選手と先導誘導員の二足の草鞋を履いている人もいるようです。現役選手が休場の場合先導誘導員になることもあるため、今後の予想のためにも先導誘導員のチェックも欠かせません。
また過去には人気の選手が先導誘導員として出場し、会場を沸かせたこともあります。ぜひレース中の選手だけでなく先導誘導員にも注目して、今後の競輪をもっと楽しんでください。
参考.1 : WINTICKET 競輪勉強シリーズ
参考.2 : WINTICKET 初心者向けコンテンツシリーズ
- ウィンチケット編集部
- WINTICKET(ウィンチケット)のコンテンツ編集チーム。初心者でも0からわかる記事を150本以上執筆した他、グレードレースを中心とした「WINTICKETニュース」、ABEMA 競輪・オートレースチャンネルでの番組の見どころをまとめたレポート記事の執筆を担当。
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