競輪コラム

競輪のギア倍数はどのくらい?ギア倍数の仕組みからギア比を制限する理由を紹介!

競輪予想をする際にどの点を重視して見ていますか?

ライン(並び)、オッズ、直近成績など様々な参考データがあり、その中でも「ギア倍数(ギア比)」というものが表記されているのをご存じでしょうか?

みなさんも変則ギア付きの自転車に一度は乗られたことがあると思いますが、速度を上げるには重いギアへ、上り坂が辛く感じたり速度を下げる際は軽いギアへと、このような認識はあると思います。しかしギアといっても様々な役割や意味合いがあるのです。

  • ギア比を小さくしたり大きくしたりするとどうなるのか?
  • 男子と女子では体格差があったりレース展開が違うためギア比も異なっている?
  • 競輪でギア比を制限するのはなぜか?

こういったギア比の気になる点についてご紹介していこうと思います!

ギア倍数(ギア比)とは?競輪競技用の自転車を漕ぐうえで重要な部分

まずは、ギアの大まかな作りについてご説明します。

ギア比の説明自転車は、ペダル側の「大ギア」と後輪側の「小ギア」がチェーンでつながれているので走ることができます。
「ギア比」と呼ばれるものは、大ギアの歯車の数と小ギアの歯車の数を割った数値を指します。
例:大ギア49・小ギア13の場合→49÷13=3.77

この例の数値は大ギア(前輪)が1回転するうちに、小ギア(後輪)が3.77回転するということになるということを表しており、これがギア比にあたります。

ギア倍数(ギア比)の数字を小さくするとペダルが軽くなる

ギア比を小さくするためには、大ギアの歯車の数を減らし小ギアの歯車の数を増やすことによりギア比を小さくすることができます。
例:大ギア46・小ギア15の場合→46÷15=3.07

ギア比を小さくすることにより、トップスピードに到達する時間が短くなり踏むペダルが軽くなるメリットがあります。
デメリットとして通常よりもペダルを漕ぐ回数が多くなり、選手の体力消耗が早くなってしまいます。

ギア倍数(ギア比)の数字を大きくすると速く漕げる

ギア比を大きくするためには、大ギアの歯車の数を増やし小ギアの歯車の数を減らすことによりギア比を大きくすることができます。
例:大ギア52・小ギア12の場合→52÷12=4.33

ギア比を大きくすることにより、漕ぐ回数が少なくトップスピードを維持しやすくなるメリットがあります。
デメリットとしてトップスピードに到達するのに時間がかかり、踏むペダルが重くなってしまいます。

競輪専用自転車(ピスト)はギア倍数(ギア比)が重要?

競輪専用自転車(ピスト)は一般的な自転車で使用されている変則可能なギアではなくシングルスピード(変速なし)の固定ギアを使用しています。
この固定ギアは一般的な自転車のように空回りができる漕ぎ型ができないようになっており、停車時と発進時に注意が必要になります。
ギアの変速もできないため、競輪選手の漕ぎ方にあったギア比を選択しなければ実力を発揮できない構造となっているのです。

なぜギア倍数(ギア比)が制限された?競輪の速度が速くなった一因と予想傾向の偏り

実は競輪では、ギア比についてルールが決められているのをご存じでしょうか?

元々ギア比は選手が自由に選ぶことができ規定はなかったのですが、山崎芳仁選手が4.00のギアで挑んだところ数々の大会で総なめにし、
タイムレコードも大幅に更新したという事例が過去に起こったのです。
誘導基準タイム(先頭誘導員が1周するタイム)が早くなることも相まったのもありますが、多くの選手が大きいギア比にする傾向が強くなっていったのです。
これにより、競輪ではギア比のルール化が図られ、男女それぞれにも分かれています。

男子の場合、競輪のギア倍数(ギア比)は「4.00」未満

男子の場合は「ギア比を4.00未満にしなくてはいけない」という決まりがあります。
選択される傾向が多いものとして、一番4.00に近い「3.92」や「3.85」が最も多く使われています。

女子の場合、競輪のギア倍数(ギア比)は「3.80」未満

女子の場合は「ギア比を3.80未満にしなくてはいけない」という決まりがあります。
選択される傾向が多いものとして、一番3.80に近い「3.71」や「3.77」が最も多く使われています。

競輪選手が選んだギア倍数(ギア比)が競輪予想サイトで公表される?ギア倍数(ギア比)の変更は許される?

使用するギア比はレース前に申告する義務があり、申告後大会前日に発表される出走表にギア比が公表されるようになります。
そして、その後にようやく各競輪予想サイトにも公表される流れになっています。

ルールが厳格なように見えますが、実は当日にギア比の変更も許可されています。

変更があった場合は、当日の場内放送などで伝えられるているので公に共有されている情報ではあります。

競輪学校の技能試験ではギア倍数(ギア比)を「3.27」以内に制限

少しお話は変わりますが、競輪選手になるためには学校があることをご存じでしょうか?
競輪学校の技能試験は狭き門と言われおり、非常に競争率が高く学ぶ内容も過酷となっているのです。
競輪学校でのギア比は「3.27(49×15)以内」と定められており、一時は「1,000mで1週コースを一定時間内にゴールする」
ということに対し、当初ギア比の制限はありませんでしたが、厳しくなったというプロセスがあります。

競輪でギア倍数(ギア比)を制限している理由、予想が単調な時があった?

ギア比を制限している理由としては、先述した山崎芳仁選手の例の他にも様々な要因があり歴史が作られています。

歴史の最初から触れますと最初は、ギア比3.57が主流の時代があり、これは「加速と持久力のバランスがいい」という理由でした。

ところが前述の山崎芳仁選手の前例が起こり、ギア比を真似る選手が続出しました。
しかし、これにより「レースが単調になってしまった」との意見が増えました。
逃げが有利になりやすく、捲りが決まりにくいという傾向が増えてしましまったのです。
そんな中、新たなルールとして掲げられたのがギア比4.00以下のルールです。

①競輪選手間の力量の差をなくすのは競輪競技の駆け引きや予想に影響?

選手によって体格やスタミナ量が異なることは、必然になります。
体格が大きく筋肉量が多い人はギア比が大きく、細身で筋肉量が少ない人はギア比が小さいということが起きると
前者が有利になり、勝負にならないということが想定されます。
このハンデ差を縮めるために規定ギア比が定められている1つの理由です。
レースに戦略が生まれ予想の仕方も変わることになります。

②競輪では落車するリスクを抑えるのは重要

競輪用の自転車にはブレーキがないため、減速するにはペダルを逆回転へ強い力を入れながら減速するしか方法がありません。
そもそもギア比が大きめの自転車は高速域に達しやすい反面、制御をかけずらいため落車する危険も大きいのです。
そういったことが落車の原因となるため、安全面を図るためにもギア比の新たなルールが加わったのです。

③競輪選手の体力温存をするため

先述した通り、ギア比が大きめの自転車は漕ぐペダルが非常に重いわけですが、結果的に体力が消耗しやすくなるため
レース終盤には体力を消費しきっている可能性があります。
競輪はラスト1週がカギとなるため、最終局面で体力を温存していることが理想となります。
こういった駆け引き面でもギア比のルールは考慮されているわけです。

「ギア倍数(ギア比)」も競輪予想では重要な要素!

競輪新聞や競輪予想サイトで公示されるギア比ですが、コースの特性と選手の能力やライン、そしてギア比を見比べながら、緻密な予想を立てると当たる可能性が高くなります。
ギア比は選手の戦略の一部であるため、予想する上で重要なファクターとなります。

競輪のギア倍数(ギア比)はどのくらい?ギア倍数の仕組みからギア倍数を制限する理由を紹介!まとめ

ギア比に注目した内容をご説明いたしましたが、いかがでしたでしょうか?
競輪競技の自転車は普通の自転車と相違点が多いですが、ギア比にもこれだけ魅力が詰まっているのは驚きですね。

ギア比の仕組みや、ルール変更、これらは競輪界を大きく変えました。
それは、結果として「レースの駆け引きが面白くなった」という意見もあり
ギア比の在り方は、レースを変えたということを物語っています。
今後の予想ではギア比を見逃せなくなりますね!

参考: 競輪勉強シリーズ

ウィンチケット編集部
WINTICKET(ウィンチケット)のコンテンツ編集チーム。初心者でも0からわかる記事を150本以上執筆した他、グレードレースを中心とした「WINTICKETニュース」、ABEMA 競輪・オートレースチャンネルでの番組の見どころをまとめたレポート記事の執筆を担当。

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